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第2 反対株主の株式買取請求手続と株式の評価

4 判例
(5) 最高裁 昭63.1.29決定(事件番号:不明)
(イ) 事案の概要
対象会社甲社の株式譲渡制限に関する定款変更決議に反対した株主からなされた旧商法349条による株式買取請求に基づく買取価格決定申請事件において、第1審が1株843円と決定したのに対し、反対株主が抗告したところ、同抗告が棄却されたため、反対株主がさらに抗告した事案
(ロ) 対象企業の特性
(業種) 米菓の販売業及び不動産賃貸業
(規模) 昭和23年9月設立
資本金990円
米菓の販売につき、常設売場8店舗、従業員約30名
不動産賃貸につき、延床面積約2273平方メートルのビル1棟及びその敷地を所有
(その他) 非上場の閉鎖的な同族会社
昭和51年度から昭和60年度まで10年間の各期の業績は、米菓販売部門の売上高は約3億円ないし3億7000万円で推移し、この部門としては毎年2000万円前後の損失続きであり、不動産賃貸部門の売上高は約4000万円から7000万円へと順次増大し、毎年2000万円前後の利益を計上しているが、会社の総括損益としては昭和51年度、55年度、57年度に利益を計上した以外はすべて赤字となっている。
(ハ) 株主構成
発行済株式総数19万8000株
反対株主(抗告人)の株式数は6万6000株(全体の33.3%)。
甲社の株主は、反対株主(抗告人)のほかは、その親族3名のみ。
反対株主(抗告人)は昭和59年10月まで甲社の代表取締役、その後は取締役営業部長として同会社に勤務したが、昭和60年5月に取締役を退任した。
(ニ) 採用された算定方式
収益還元方式(1株107円):純資産価格方式(1株925円)=1:1
(1株516円)
(ホ) 算定方式採用理由・要旨
  • 甲社は全く配当が実施されていない会社であるのみならず、将来の配当の予測が困難であり、また、本件株式の売買当事者が一般投資家でないことからいっても、本件株式の評価にあたって配当還元方式を採るのは相当でない。
  • 甲社の業態では適切な類似会社を選定することが困難であるから、類似会社比準方式を採用することもできない。
  • 株式の評価方式には、配当還元方式、類似会社比準方式、収益還元方式、純資産価格方式などがあるが、本件においては、配当還元方式と類似会社比準方式を採用することができないから、収益還元方式と純資産価格方式によるのが相当であり、これらを複合して同等の比準で株価を判定する。