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第2 反対株主の株式買取請求手続と株式の評価

4 判例
(2) 高松高裁 昭50.3.31決定(事件番号:昭和50(ラ)3号)
(イ) 事案の概要
対象会社甲社の株式譲渡制限に関する定款変更決議に反対した株主からなされた旧商法349条による株式買取請求に基づく買取価格決定申請事件において、原審が1株1212円と決定したのに対し、甲社が抗告した事案
(ロ) 対象企業の特性
(業種) 主に、米と飼料の卸売と製粉加工
(規模) 昭和24年設立
資本金4500万円
中程度の規模
(その他) 甲社の株式は、非上場であり、店頭取引も行われておらず、いわゆる取引相場がない。
昭和41年以降は、昭和44年に主力工場の火災による損失計上のため無配となった以外は、配当を継続している。
収益は安定しており、今後も継続が予想されており、解散・清算は予定されていない。
(ハ) 株主構成
発行済株式総数15万株
創業者一族が全株式を保有する典型的な同族会社。
対象株式数は不明。
反対株主(相手方)は創業者の三男であり、甲社の常務取締役の地位にあったが、創業者の保有株式の分配をめぐる兄弟間の内紛が起きて以来、甲社の営業には全く関与していない。
(ニ) 採用された算定方式
純資産価額方式(1株1754円):類似会社比準方式(1株127円)=1:1
(1株940円)
(ホ) 算定方式採用理由・要旨
  • 類似会社比準方式は、類似業種の会社の株価が、その会社の類似業種の上場会社の株価、1株あたりの配当額、年利益額及び純資産額等の諸要素を主たる契機として、市場取引において現実に形成されたものと一応言えるから、対象会社の同じ要素を類似会社に比準した上、両者の株式の市場流動性を勘案して修正した価格は、評価対象会社の株価の評定にあたり、一つの重要な指標となるが、実際には、比準のもとになる諸要素の類似する業種の選定は甚だ困難であるし、また、株式の価格形成の要因が上記諸要素に限定されるとは断定し難い。
  • 買取請求当時の甲社における反対株主(相手方)の立場は、非支配株主であるが、同族株主であることに変わりない上、甲社は株式の譲渡制限をした閉鎖的会社であり、会社の規模も中程度であることを考慮すると、反対株主(相手方)が有する株式は、甲社の純資産価値を反映した価値を帯有しているものと解するのが相当。
  • 類似会社比準方式と純資産価額方式を併用する考え方自体は合理性があるが、営業を継続する株式会社における投下資本回収の方法が株式の譲渡以外にないことなどを考慮すると、純資産価値を重視しすぎることはできないから、甲社の実体を勘案して、上記両方式による算出価格の平均値を採用するのが相当。