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第1 非上場株式の譲渡手続と株式の評価

4 判例
(5) 広島高裁 昭55.3.28決定( 事件番号:昭51(ラ)5号、6号 )
(イ) 事案の概要
対象会社甲社の株式の売買に関する原審の決定に対し、当事者双方から抗告された事案
(ロ) 対象企業の特性
(業種) 清酒製造業
(規模)
資本金  500万円
純資産額約  4億4,500万円
清酒業界では企業規模が大きく、全国的に知名度が高い。
(ハ) 株主構成
譲渡人8名の持株比率は5.73%で経営に関与していない株主(非常勤取締役に就任していた被相続人から相続により取得)。
指定買受人は、甲社の代表取締役で9.18%の株式を所有する筆頭株主。
取締役12名の合計持株比率は44.68%、監査役2名を加えると46.63%となり、右以外の株主は一審申請人らのグループ(譲渡人)を除き、零細株主で、同族株主は存在しない。
株主数237名
(ニ) 採用された算定方式
類似業種比準方式(但し、比準価額の85%に減額)
(1株1万6,256円)
(ホ) 算定方式採用理由・要旨
  • 純資産価額方式は、会社といっても個人企業とあまり変らない小規模の会社の場合、会社を解散して清算する場合または企業支配を目的として株式を取得する場合(いわば企業譲渡にも比すべき場合)には妥当するが、本件はいずれにも該当しない。
  • 収益還元方式は、会社の収益がすべて株主への配当にまわされるものではないこと、利子率(割引率)を決定することが困難であること、将来各期の利益を現在または過去の利益におきかえ、しかもそれが永久に続くものと仮定していることから株価算定方式としては妥当ではない。
  • 会社はかなり高い利益を上げながら増資もせず、資本金を事業規模に比し著しく低額にとどめ配当を一定に抑えて利益の大部分を保留しており、被申請人自身配当を多くしたいと考えており、(配当還元法による)1株200円の価額は各鑑定結果と比較して極端に低く、算定方式として妥当ではない。
  • 客観的交換価値を適正に反映した取引事例はない。
  • 山一方式が国税庁方式よりも合理性があると認められるべき資料はない。
  • 山一方式の市場性の欠如を理由とする50%のディスカウントはいかにも高率にすぎる。
  • 国税庁方式は、①係数化が困難であるため比準要素とすることができない株価構成要素があること、②現実に取引の市場をもたない株式を上場株式と全く同一視した評価を行なうことは妥当ではなく、評価の安全性を図るため、70%相当額により評価しているが、比準価額に乗ずべき係数が一未満になる可能性と一以上になる可能性があり、国税庁方式においては過大評価となることを避けるため、右係数を一未満にしたと解され、前者(①)は合理性がなく②のみが考慮されるべきである。